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社内コミュニケーション /

分散する既存の動画を集めてサービス化 『LIXIL-X』の動画マーケティングへの挑戦

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コロナ禍でオフラインでの接触機会が減ってしまったこともあり、BtoCビジネスでの取り組みが中心だった企業の動画マーケティングは、BtoBビジネスの領域でも急激に増えてきています。

日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供する株式会社LIXILも、営業担当者が遠方へなかなか足を運べないBtoBの顧客に向け、商品説明などの動画を各部門がそれぞれで制作・公開していました。しかし、なかなか思ったようにそれらの動画の視聴を促進することができないという課題を抱えていたのです。

そこで、同社はこれまで制作したすべての動画を一元管理し、マーケティングにも活用できる動画メディア『LIXIL-X』を立ち上げることに。この『LIXIL-X』は、ブライトコーブのプラットフォームで構築され、2022年3月に公開されました。

顧客エンゲージメントを高めるためにブライトコーブのプラットフォームを採用

以前から各部門が制作していた動画の多くは、ブライトコーブのプラットフォームを使って展開されていました。その理由は、株式会社LIXIL商品コンテンツマネジメント統括部Chief Product Officerであるマイク高橋氏によれば、ブライトコーブが「安定した動画プラットフォームである」ことにあったそうです。

『LIXIL-X』の立ち上げに際しても、高橋氏はブライトコーブのプラットフォームを採用しました。それには2つの理由があったといいます。

「まず、他社の動画配信サービスは、さまざまな機能を他社サービスとの複雑な連携でしか実現できないものが多いなか、ブライトコーブのプラットフォームは独自のAPIが非常に充実しているという印象を受けたからです。これによって、さまざまなマーケティング施策の選択肢が増えると思いました」

「二つ目は、顧客エンゲージメントを高めたいという理由です。当初はYouTubeチャンネルを開設して動画公開すればいいと考えていました。しかし、それでは自社で制作した動画で顧客エンゲージメントを高めても、極論YouTubeのエンゲージメントを高めることにしかなりません。例えば、YouTubeで表示される『次の動画』は必ずしもLIXILの動画ではなく、インフルエンサーや競合他社、競合他社との比較などの関連動画が表示される可能性も高くなります。自社の顧客エンゲージメントを高めるためには、自社の経済圏で次の関連動画を表示してくれるオウンドメディアが必要です。ブライトコーブのプラットフォームは、このオウンドメディアの構築に適しているため、採用に至りました」

ブライトコーブのAPIのおかげで、短期間でのプロトタイプ公開を実現

『LIXIL-X』のプロトタイプのローンチは、開発作業の本格稼働からわずから半年で実現しました。

「実は以前、ブライトコーブのプラットフォームをファイルサーバーとして使用しつつ、フルスクラッチで開発した動画検索プログラムを構築しており、この修正を前提に開発をすすめようと考えていました。しかし、修正ベースで開発するとなるとどうしてもウォーターフォール型となり、業者選定・要件定義から始まってローンチまでに1年近くかかることが見込まれます。それはちょっと待てない、と思ったのです」

「まず完成度40点程度のプロトタイプを短期間で公開し、公開後に40点のものを100点に近づける改善を行っていくアジャイル開発がしたかった。なぜなら、実際に早い段階で見えるものがあったほうが、予算の執行権を持つ経営層などを説得しやすいからです。今回、ブライトコーブの優れたAPIのおかげで、小さなフロントエンジニアグループだけでのアジャイル開発が可能となりました」

社内から寄せられた意見を元にブラッシュアップ。“営業でも使える”メディアに

『LIXIL-X』のプロトタイプを公開すると、社内の様々な部門から数多くのフィードバックが寄せられたそうです。

「そもそも『LIXIL-X』のユーザーと一番近いところで接点を持っているのは、ショールーム担当や営業部門です。この人たちがこのメディアならお客様に見てもらえると思ってくれないと『LIXIL-X』は伸びないと思っていました。すると、それらのチームの人たちから多数のフィードバックが寄せられたのです。フィードバックの内容の多くは、使いたいことが前提で、仕組み的なことや動画の分類、表現の仕方、見栄えなどに関しての前向きな指摘でした」

「そこで、フィードバックを寄せてくれた人全員とアポを取り、詳しくヒアリングしました。そのヒアリング内容をもとに、エンジニアと相談してシステム修正に取りかかり、寄せられたフィードバックの内容を片っ端から『LIXIL-X』へ盛り込んでいきました」

「寄せられたフィードバックの中で、特にわかりやすいのは『吐水』の例でした。水道の蛇口やシャワーヘッドから水が出る吐水の様子は、ショールームではなかなか見せられません。電気さえあればすぐに点けられる電灯とは異なり、水を出すには水道管を引かないといけないからです。実はショールームを訪れるクライアントからは『お風呂はどのくらいの時間で一杯になりますか?』『シャワーの出る勢いは?』と吐水に関する質問が多いそうです。これまではそれにうまく答えられず、『ショールームでは水の出方が一番大きな課題になっている』とのことでした」

「そこですぐに吐水の動画を集め、『LIXIL-X』で手軽に見られるようにしました。その動画を見せることで、これまで解決できなかったクライアントの疑問をその場で解決できるようになったそうです。『LIXIL-X』がショールームの人たちの大きな助けにもなったのを実感しました」

今後はログイン機能も搭載し、より強力なマーケティング態勢の構築へ

今後『LIXIL-X』にログイン機能を搭載し、より強力なマーケティング態勢を構築していきたいと考えているそうです。

「ユーザーにログインしてもらえば、ブライトコーブの機能『キャンペーン』を使って、個人を特定した行動分析ができるようになります。動画公開時にメールで通知して製品訴求につなげるなど、見込み顧客を顧客に近づける施策が打てるようになるだけでなく、営業部門が使っているMAツールにも接続できるようになるからです」

「ユーザーに積極的にログインしてもらうためには、”ログインしないと楽しめない“と思ってもらえる機能を作らなければなりません。当然ながら、ログインユーザーを増やすためには、分母である視聴者数自体を増やすことも必要です。BtoBの動画は1本ごとの動画ではそれほどの視聴数を稼げませんが、ユーザーのニッチなニーズに合わせた多数の入口をロングテールで用意しながら、メディア全体で圧倒的な視聴者数を獲得していきたいです」

『LIXIL-X』で動画の圧倒的な視聴者数を稼ぐとともに、強力なマーケティング態勢の構築を目指すLIXIL。動画マーケティングによる新たな展開が、これからまだまだ続きそうです。

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