動画を使ったストーリーテリングを通じてブランドをアピール
Marketing
ストーリーテリングは、2012年にLinkedInのスキルとして登場して以来、マーケティング業界で話題の用語となっています。現在、顧客獲得を狙う何十万人ものプロのストーリーテラーが、まったく同じことを主張しています。「ブランドにはストーリーテリングが必要。特に動画を使ったストーリーテリングは欠かせない」と。
それは誰もが知っていることでしょう。当社は、最も信頼されるストリーミングテクノロジー企業として、多くのメディア企業と連携してきた経験から、マーケティング担当者が負担を強いられている現状を把握しています。コンテンツは依然として飽和状態にあり、マーケティング担当者には メディア企業としての直感を研ぎ澄ますよう繰り返し伝えることしかできません。
言い換えれば、すでに知っていることを伝えるストーリーテラーはもう必要ないということです。必要なのは、動画を使ったブランドのストーリーテリングをどのように行うべきか(また、どのように行うべきでないか)を伝えてくれるストーリーテラーです。
そこで、GoogleおよびHubSpotの元マーケティング担当者であり、『Unthinkable』の著者でもあるJay Acunzo氏にお話をうかがいました。Acunzo氏には、PLAYの第1シーズンで、視聴者とつながるための実用的なヒントを多数提供していただいています。ここでは、そのヒントを測定可能な方法で適用するにはどうしたらよいか、少し掘り下げてご説明します。
動画を使ったストーリーテリングでよく見られる失敗とは
第1の失敗は、視聴者を惹きつけ、興味を持たせるストーリー作りができていないことだと思います。
ほとんどの人が、ストーリーの冒頭ですぐに視聴者を惹きつける必要があると認識しています。しかし、冒頭で巧妙な技を使って視聴者の注意を得られれば、それだけで「最後まで視聴してもらえる」と思われがちなのですが、これは違います。本当の課題は、視聴体験の中で緊張感を与えたり、疑問を感じたりする瞬間を提供し続けることなのです。「私は、毎朝自分を奮い立たせる5つの単語を唱えながら、お気に入りのマグカップに手を伸ばしていた」。この「ストーリー」では何も起きていません。それでも、続きを知りたいと思いませんか?なぜなら、「5つの単語」が気になるからです。
伝え方を変えるだけで、徐々に期待感を高め、視聴者の心をつかみ、最後まで見てもらうことができるのです。
第2の失敗は、ブランドが持つ独自の個性を十分に発揮できていないことだと思います。
メディアはすでに、コンテンツと同じくらい登場人物が重要であることを理解しています。そのため、有名人や、少なくとも熟練の司会者やコミュニケーターをカメラの前に立たせています。そして時がたつにつれ、視聴者はその人物を人として認識し、感情や個性に親近感を抱くようになるのです。
このような現象は、現在、小規模なSaaSブランドですでに見られています。ブランドのスタッフが、顔が知られる前から、動画や、LinkedIn、Twitter、ポッドキャストで、著名人のように登場しています。
私たちは、「人が信頼するのは、ロゴではなく人」という表現を好んで使いますが、その意味を十分に理解しているとは言えません。コンテンツを作成するだけでなく、クリエイターも育成したらどうなるでしょうか?
ストーリーテリングの失敗が動画のパフォーマンスに与える影響とは
「あざとさ」は、動画の体験を台無しにします。自分を偽ろうとしている場合でも、本当の自分を表現できない場合でも、視聴者は違和感を抱くことがあります。
音声も動画も、コンテンツでは同じような働きをします。どちらも、本当の姿をむき出しにする、「すべてを映し出す」メディアなのです。何も隠せません。声、顔、抑揚などから、カメラに映る人物が信頼でき、好感を持てる人なのかがすぐに判断されます。
カメラ映りはマスターすべき技です。その人の魅力や好感度とは異なる、独特な技の1つと言えるでしょう。カメラが回ったら、「自分」をその動画のメインキャラクターとして活用しなければなりません。「自分」は、セルフプロデュースして生み出すパフォーマンス要素なのです。
動画の質が悪い原因は質の低いストーリーテリングにあると判断するには
費やされる時間です。
マーケティング担当者は、動画の再生回数などのわかりやすい数値を好みますが、人々が実際に動画を見て、ブランドと関わる時間を持たなければ、どのような成果も得られません。リーチは大切ですが、必要なのは共感を得ることなのです。そして、信頼を獲得できなければ、行動を促すことはできません。成果を得るには、視聴者に行動してもらう必要があります。
このように、優れたマーケティングとは、「誰が来るか」ではなく、「誰が長く留まってくれるか」なのです。そのため、離脱率が1つの指針になります。
また、動画の場合、消費に至るまで時間がかかります。動画を見終えても、それ以上の行動に出なければ、ストーリーが効果的ではなく、人々を惹きつけられなかったということになります。
優れたストーリーテラーは人の心をつかむことができますが、効果的なストーリーテラーは人を動かすことができます。視聴者が時間を費やして動画を見ても、行動しなければ、コンテンツを改善する必要があります。離脱率に表れていない場合でも必要です。
新規視聴者が何に惹かれるのかよくわからないときに、動画の品質を下げないようにするには
何をやっても期待を下回る場合、視聴者を理解していないことが理由とは限らないことがあります。本来のブランドの個性を無視して、ブランド側の求める姿を追求していることがあります。これは当然、実現しません。
クリエイティブな仕事は、必ずクリエイターを介して行われます。クリエイターは、仕事から自分の主観的な経験を切り離すことはできません。人はボットではないのです(ボットであっても、インプットがないとアウトプットを作り出せません)。
では、仕事で作る作品に話を戻しましょう。報酬を得られないとしても、自分の作品を心の底から気に入っていると言えますか?それは本心ですか?マーケティング担当の1人としてではなく、「自分の活躍の場」のために何かを作成することができますか?
最も共感され、最も愛され、最も成功しているクリエイターは、出発点は常にシンプルな事実、つまり、世界に求められるものを作ることであると理解しています。
ブランドの差別化要因となる、最もシンプルかつ最大の影響を与えるものとは
まず、「シンプル」と「簡単」はイコールでないと認識する必要があります。簡単な道を探しているなら、先に行く人の後をついていけばいいのです。しかし、これでは大きな影響を与えることはできません。
ブランド側は、自分のトピックについて確信を得る手立てを持っていません。競合他社と同じように、トピックに関するコンテンツを作成するしかないのです。だからこそ、生活必需品になるのです。生活必需品の出所はそれほど重要ではありません。どこにでも手に入れることができます。小麦は小麦。鉄は鉄。ソーシャルメディアのフォローを増やす方法は、ソーシャルメディアのフォローを増やす方法。
すべて同じです。
必要なのは、次の問いの答えを探すことです。「対象の分野や視聴者について、私たちが確信していて、競合他社が認めていないことは何か?」
たとえば、ポッドキャストは注目を集めても、ネットでの新たなリーチを獲得するものではないと思います。競合他社の中には、ブランドの番組を制作し、ポッドキャストは認知度の向上に役立つと考えている企業もありますが、私はまったく同意できません。そのような企業は私の仕事を見て、「Jayは私たちが信じていないことを信じている」とわかります。そのため、私はより有益な顧客を獲得できる上、望まないリードを寄せ付けない、ちょうどいい壁を作り出すことができます。
はっきり言いましょう。確信とは、「これは通常よりシンプルなはず」というような比較級で表現できません。競合他社もこれには同意するでしょう。「Xは最悪ではない」という位置付けは、ブランドにとって最悪です。確信していることを比較級で表現するなら、それは確信ではないのです。