アプリ内で求人企業の動画を配信し、就活生の志望度を向上
「人の数だけ、キャリアをつくる。」をミッションに、IT×HR領域でさまざまなサービスを展開する株式会社ワンキャリア。新卒者向けの就 活 サイト「 ONE CAREER 」や 転 職 希 望 者 向 け の 転 職 サイト「ONE CAREER PLUS 」、企 業 の 人 事 向 け の「 ONE CAREER CLOUD」といったサービスを提供しています。
2021年、コロナ禍を機にYouTube Liveに加えて「ONE CAREER」アプリでも、企業説明会などの動画配信サービスをスタート。その配信をBrightcoveが支えています。
短期間かつ最小工数でアプリ内での動画配信を実現
同社が大きな転機を迎えたのは、2020年2月頃のこと。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されたことで外出自粛が求められ、企業の合同説明会など対面型のオフラインイベントが軒並み中止を余儀なくされました。この状況に、就活生や転職希望者だけでなく、企業の人事部も困っていました。そんな状況を打破しようと、同社ではYouTube Liveを使った企業説明会の配信をスタート。
「YouTubeでの動画配信では、どんな属性の方が見ているのかを把握しづらいことや、視聴回数をはじめとしたデータの信頼度がそれほど高くないことを懸念していたこともあり、2020年中には自社アプリ内で動画視聴する体験を作りたいと考えていました。現在もYouTubeでの動画配信も実施していますが、あくまでマーケティング手段としての活用にとどまっています」(多田氏)
Brightcoveを導入したのは2021年ですが、AWSを使って自社で構築する方法を検討したり、他社サービスとも比較しましたが、開発の手間やスピード感、ラーニングコストやメンテナンスの工数など総合的に考えてブライトコーブ製品の導入を決めました。
「コロナ禍になって、競合他社もオンラインや動画配信のサービスを展開し始めました。我々も先んじてサービスを展開しなければならないというところで、コストを抑えながら、かつこのスピード感で導入できたのは一番の決め手になったと思います」(多田氏)
「ブライトコーブの製品はかゆいところに手が届く感じがあり、使い方もシンプルで、とにかくわかりやすいですね。導入してから自分たちで開発することがほとんどなかったと言ってもいいくらい。それでもアプリ内での動画配信を決めてから、わずか2〜3か月ほどでサービスローンチまでこぎつけることができました」(山口氏)
Brightcoveを導入して以来、すでに3年ほどが経過していますが、いまだに使い勝手の良さやサポート体制の充実さを実感しているとのこと。
「分からないことなどがあったらブライトコーブの担当営業やテクニカルサポートの方とメールでやり取りさせていただくのですが、とにかくすぐにレスポンスをいただけます。面談でのやり取りやビデオ通話も含めて、サポート体制がすごく充実しているのは、ありがたいと感じることが多いですね」(山口氏)
動画を視聴した学生の志望度が大きく変化
Brightcoveで取得できるデータの活用も少しずつ始めており、特に視聴回数や視聴維持率はチェックしているとのこと。求人企業が配信する動画コンテンツについては、ユーザーからの定性的なアンケート結果と取得データを踏まえて企業にフィードバックしているそうです。
「動画を配信してフィードバックを重ねることで『日系大手で古風な社風の企業だと思っていたけれど、フラットにコミュニケーションしていて柔和な会社だと思った』と企業イメージを変えることに成功した例もあります。
一部企業に向けた調査によると、自社アプリの動画を視聴した学生の95%が『その企業への志望度が上がった』と回答しています。また、実際にエントリー数が10%増加したという調査結果も見られました。動画が学生の志望度を向上させるのに一役買っているだけでなく、企業側としても学生が動画視聴したうえでエントリーしたかどうか、次の選考に進んでいるかどうかを把握できるので、より効率的な採用活動ができるようになると思います。もう少しうまくデータを使ってより効果的な動画配信を進めていきたいですね」(多田氏)
学生たちからは、企業研究や動画視聴、説明会や求人へのエントリーといった就職活動のすべてをアプリで完結できる点が高く評価されています。一方で、採用担当者からは、エンゲージメントデータの提供に加え、就活中の学生に視聴者を限定し、企業情報の開示を制限する仕組みが好評です。このアプリは、学生と採用担当者の双方に利便性と価値を提供する、優れたツールとなっています。
写真左から、コンサルティングセールス事業部 イベントプロデューサー 兼 ONE CAREER for Engineer サービス責任者 多田薫平氏
技術開発部 シニアエンジニアリングマネージャー 兼 ONE CAREERプロダクトマネージャー 山口拓弥氏
視聴データやオフラインとのかけ合わせで、より効率的な採用活動を実現できるサービスに
今後は、視聴データやオフラインをかけ合わせて、より効果的・効率的な採用活動を支援するサービスを展開していきたいと語ります。
「コロナ禍を経て、就職活動はオンラインとオフラインのハイブリッドで展開されることが増えましたが、まだ、オンラインとオフラインをただミックスしただけで、うまくかけ合わせることができていない印象を持っています。オフラインで接点を持ったユーザーとオンラインで接点を持ったユーザーをどうつなげていくのか、この先の課題にもなってくると思いますし、そのためにもデータをうまく活用していく必要があると考えています」(多田氏)
「今は求人企業の動画を就活生が見られるというだけのプラットフォームですが、今後は、もう少し踏み込んだ形のコンテンツ管理を考えています。志望者の志望度合いや属性にあわせて、どういう動画を配信するか、動画を視聴した学生にどういうメッセージを送信するかなど、学生に対するコミュニケーションを手間なく丁寧にできるシステムを開発していく予定です」(山口氏)
自社開発のアプリ内での動画配信を通じ、求人企業の採用活動を支援するワンキャリア。これからも動画を活用した採用現場の新常識が構築されていくことでしょう。