プロデューサー・エコノミーの幕開け

インターネットとストリーミングは、動画の制作と配信のランドスケープを大きく民主化しました。

クリエイターは、ほとんどコストをかけずに動画を制作し、多くの人に配信することができます。映画、テレビ、ニュース、スポーツの大手プロデューサーは、より直接的に視聴者にアプローチすることができます。ブランドでさえも、動画を通じて視聴者とストーリーを共有し始めています。

このようなトレンドに加えて出現し新しく定義されたものが、プロデューサー・エコノミーです。

動画の民主化

動画の民主化を促進したのは、次の3点です。

• モバイルの進化: インターネットに接続されたコンピュータを誰もが手にすることができるようになりました。
• コネクティッドTVの急増: インターネットをリビングルームに導入したことで、私たちはいつもと違う、ほとんど受動的な悠長に構えた姿勢で取り組んでいます。
• ソーシャルメディア革命: 私たち全員をつなぎ、一人芝居のような一対多ではなく、多対多での会話を実現しました。

いまや私たちは、友人やインフルエンサー、クリエイターのコンテンツなど、あらゆるタイプのコンテンツに、より広くアクセスできるようになりました。インターネットを通じて、いつでも、オンデマンドで、すべてのコンテンツにアクセスできるようになったのです。その結果、過去10年間で、3つの大きなトレンドが生まれました。

• クリエイターエコノミー: 誰もが自分を表現し、それをソーシャルに共有し、アルゴリズムがそれを増幅し、YouTube、Instagram、TikTokなどの自動広告でお金を稼ぐことができるようになりました。
• ストリーミング戦争: Netflixのような新しいストリーミング・プラットフォームが生まれ、スタジオとネットワークの間に入り、それらがひとつにまとまりました。やがて、どのメディア企業も、中抜きされるよりはと、後を追いました。
• ブランドの波: ブランドや企業は当初、ソーシャルメディアの流れに乗り、中には動画を使ったものもありました。いまや、彼らは自分たちのストーリーを伝えるために、動画ファーストの強固なコンテンツ戦略を構築し始めています。

これらのトレンドは、いずれも民主化によって従来の中間業者をバイパスして、より直接的に消費者に届くようになったことから始まりました。

例えば、音楽ビジネスとMacklemoreやDoja Catのようなインディーズミュージシャンを見てみましょう。彼らは技術を磨き、素晴らしい作品を作り、直接リリースし、発掘され、YouTubeを通じてフォロワーを増やしていきました。

YouTubeは多くのアーティストやクリエイター対して非常に多くの価値を生み出していますが、それは本当に民主化されているのでしょうか？それとも、音楽業界は、レーベルというある種の中間業者を、アルゴリズムやプログラマティック広告に基づく別の中間業者と交換したのでしょうか？

クリエイターエコノミーのたそがれ

クリエイターはたくさんの利益を得ています。何百万という人がいて、何千という人が実際にお金を稼いでいます。

ほとんどの主要なソーシャルプラットフォームでの収益分配契約で、クリエーターは約半分利益を得ます。これは、オーディエンスを増やす小さな新興企業にとって納得できるものです。技術的なコストもマーケティングコストもかからず、ただ立ち上げるだけでいいのです。ソーシャルグラフとアルゴリズムをうまく利用すれば、お金は後からついてきます。

しかし、誰もがMr.Beastになり、10億ドル規模のビジネスを構築できるわけではありません。さらに、YouTubeの多くの視聴者が、Mr.Beastが行ったように、ハンバーガーチェーンのような他のビジネスを立ち上げるクリエイターを支援できるかどうかは定かではありません。むしろ、クリエイターは多角化する必要があるのではないでしょうか。

アルゴリズムやコンテンツガイドライン、マネタイズポリシーなどの変化から身を守るために、クリエイターがソーシャルメディア上の複数のプラットフォームで、マルチチャネルビジネスを構築したらどうでしょう？アプリからFASTチャンネルまで、独自のダイレクト・トゥ・コンシューマー・チャンネルを作ったらどうでしょう？

これからのクリエイティブはプロデュースである

ここで、プロデューサーの出番です。

プロデューサーは一般的に、作品を監督し、資金を調達し、アーティストや技術者、スタッフなど、作品の上演に必要なリソースを雇う役割を担っています。しかし、私たちはこれを少し拡大することができるかもしれません。プロデューサーは、今やクリエイター・エコノミーの創造者です。

彼らは、主要なテレビ番組のショーランナーであり、クリエイターです。映画監督です。ソーシャルメディアで広く配信される動画で、自社ブランドをどう表現するかを決めるCMOも彼らです。そして、社内で社内外向けの動画を制作しているプロダクションチームでもあります。

インターネットとストリーミングがもたらしたのは、こうしたプロデューサーたちが、自分たちのストーリーの配信に声を上げ、真の代理権を持つことができるようになったことです。

では、もしあなたが有意義なブランド認知度と視聴者の支持を得ているプロデューサーだとしたら、何があなたを妨げているのでしょうか？視聴者も技術もそこにあります。

ストリーミングは活発な市場ですが、変化が激しいのも事実です。プラットフォームはいつでもアルゴリズムを更新することができ、視聴者を変えることができます。コンテンツの資金提供者は、番組をキャンセルして次の番組に移ることもできます。(Netflixの1シーズンまたは2シーズンで終了するクリエイターたちに聞いてみてください）。ブランドは、すぐに動画コンテンツでストーリーを伝える必要がありますし、そうでなければ、今のような顧客はいなくなるでしょう。

プロデューサーは、自分たちのコンテンツとその流通やマネタイズも所有することができます。もうハリウッドだけのものではありません。クリエイターも企業やブランドもハリウッドなしでできるのです。これらすべてのプロデューサーは、直接的にリーチすることを含む複数のプラットフォームでオーディエンスにリーチする機会を得ています。これがプロデューサー・エコノミーであり、プロデューサーが自身のデジタルの未来を所有してゆくのです。

PlayTVで全編をご覧ください。