Dynamic Delivery におけるデジタル著作権管理(DRM)
Tech Talk
弊社の新しいメディア配信システム、Dynamic DeliveryのVideo Cloudへの統合が完了し、2017年、お客様向けに公開されることをお知らせいたします。Dynamic Deliveryは、デバイスのリーチの向上、インジェストやデリバリーの分配、格納コストの削減、CDNの柔軟性と安全性の向上など、Video Cloudに数多くのメリットをもたらします。本稿では、特に、ストリーミングとDRMフォーマットの独自の組み合わせが必要な様々なプラットフォームにわたって、Dynamic Deliveryにより著作権管理で保護されたコンテンツ配信に関する課題がどのように単純化されるのか、その方法について取り上げます。
はじめに
とにかくどのような場所でも動画を動かし再生したい-誰もがそう望んでいます。こうした要望は、比較的プレミアムコンテンツ以外の場合に顕著です。ところが、より高度な要件、例えばDRMやクローズドキャプション、サブタイトル、様々な言語や音声解説に対応したマルチオーディオトラックが追加されたとたん、動画を様々なプラットフォームにわたって配信することが本当に複雑になります。エンドポイント(ウェブブラウザ、スマートフォン、タブレット、コネクテッドTV、ストリーミングボックス)の環境は、絶え間なく変化しています。最適な再生体験を得るためには、このようなエンドポイントに、動画コーデック、パッケージングフォーマット、DRMシステムを様々な形で組み合わせなければならないことが多いため、それが動画配信を難しくしています。あらゆるデバイスで機能する標準的な設定の組み合わせは存在せず、これらのシステムの多くは互いに競合することから、そのようなものがすぐに実現するとは思えません。例えば、Apple TVのFairPlay DRM で保護されたHLSストリームは、Androidデバイス上では再生できません。
これまで、様々なエンドポイントをサポートするために動画をパッケージ化するということは、それぞれのエンドポイントに合わせた同一コンテンツの別バージョンを制作すること、あるいはマルチDRMソリューションを利用することを意味していました。それぞれのエンドポイントのために様々なバージョンを制作するということは、処理および格納のための要件が増え続けることを意味し、様々なキャプションや言語を追加すると、それは指数関数的に増え始めます。マルチDRMソリューションにはそれ独自の課題があり、モバイルウェブやデバイスにネイティブなストリーミングソリューションが必要な状況下では上手く機能しません。新しいメディアフォーマットが導入されたり、フォーマットの仕様が変更されたりすると、このようなパッケージを更新したり作成し直したりしなければなりません。Dynamic Deliveryは、そのような場所で役立ちます。それぞれのエンドポイントに合わせて同一コンテンツの別バージョンを複数制作するのではなく、必要に応じて「ジャスト・イン・タイム」のパッケージ化により、適切なバージョンを同時に複数制作します。この方法により、追加で格納する必要性がなくなり、必要に応じて新しいフォーマットを簡単にサポートできます。
メリット
Dynamic Deliveryは、配信フォーマットの増殖を管理するのに役立ちます。以下に、その方法をご紹介します。
格納におけるフットプリントを削減する:これを、レンディションを一度格納し、必要に応じて配信のためのダウンストリーミングフォーマットをオン・ザ・フライで生成することにより実現します。
デバイスのリーチおよびサポート:適切なパッケージングとDRMフォーマットを自動的に選択し、コンテンツをリクエストしているデバイスに基づいて、ジャスト・イン・タイムのパッケージングでレンディションを生成します。これにより、今後のデバイスとフォーマットに適合させるための将来的なコストと労力を大幅に削減します。
コンフィギュレーションのためのステップ
Dynamic Deliveryは、DRMを使用したコンテンツ配信の複雑性を大幅に削減しますが、立ち上げて運用するためのステップが数段階あります。まずは、ご自身のアカウントでのDRMの有効化について、ブライトコーブのアカウントマネージャーに問い合わせてください。コンテンツをiOSデバイス(Apple TVなど)に配信したい場合は、AppleからリリースされているFairPlayデプロイメントパッケージを取得する必要があります。FairPlayデプロイメントパッケージを請求するには、こちらからAppleに連絡してください (ログインするためにはApple社のディベロッパープログラムアカウントが必要です)。パッケージには、以下の4つの重要な情報が含まれていますので、それをブライトコーブのカスタマーサポートに伝えてください。
CSR (証明書署名要求)-.csrという拡張子のついた小さいファイル
ASK(アプリケーションシークレットキー)-Apple社が提供する128-ビットのプレーンテキストのヘックスキー
証明書:通常は、.derまたは.cerという拡張子のついたファイル
キー(スタンダードプライベートキー)-.pemという拡張子のついたファイルに格納
テストやQA環境においてiOSデバイス上でFairplayの実装テストをしていたとしても、インジェストと再生を確実に成功させるために、Apple社からプロダクション証明を取得する必要があります。
ご自身のアカウントでDRMのセットアップが完了したら、Dynamic Ingestを使用してソースファイルをインジェストし、ここに記載するように、Dynamic Deliveryを有効にしたインジェストプロファイルを指定してください。例えば、ご自身のインジェストプロファイルに360@600kbps、720p@1200kbps、および720p@2000kbpsというレンディションが組み込まれている場合、3つの断片化したMP4レンディションが1セット格納されます。Dynamic Deliveryは、以下のフォーマットをサポートするDRMを有効にしたエンドポイントのために、これらのレンディションを自動的にパッケージ化します:
Google Widevine ModularやMicrosoft PlayReadyで使用するDASH-CENC
Microsoft PlayReadyで使用するSmooth
Apple FairPlayで使用するHLS
以下の図は、単一格納フォーマットおよびジャスト・イン・タイムのパッケージングの考え方を図式化したものです。
再生テストは、人気のデスクトップブラウザー(ほとんどの場合、SilverlightとFlashなど、ブラウザーのプラグインを使用せずに、ネイティブに実施)や、あらゆるiOSまたはAndroidアプリ上で、保護されたコンテンツを配信する必要がある場合に実施する必要があります。ブライトコーブのPlayerやSDKを使用している場合は、ここに記載されているようにDRM設定を構成してください。
ご自身のアカウントでDRMの有効化が済んだら、デフォルトですべてのタイトルがDRM保護を使用して配信されます。例外的に、DRMを有効化したアカウントの中で、DRMを無効化して配信したいタイトルがある場合は、以下のいずれかの方法によりそれを実行できます。
インジェスト中またはインジェスト後に、Video Cloud CMS APIを使用して、「drm_disabled」フラグをtrueに設定します。
Video Cloud Studio内で、タイトルにあるDRMトグルを使用してDRMをオフにします。
このトグルは、DRMを有効化したアカウントでのみ利用できます。
弊社は、様々なポリシー設定をサポートし、ご利用のコンテンツプロバイダーにより規定されている要件に合わせることができます。コンテンツの再生方法に関するライセンスポリシーの制限に設定を合わせる必要がある場合は、詳細について担当するアカウントマネージャーにご相談ください。